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「ねぎさまみやた」そうさくメモ

「禰宜様宮田」創作メモ

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,713 字 · 14 页

青空文庫

日光が金粉をまいたように水面に踊って、なだらかな浪が、彼方の岸から此方の岸へと、サヤサヤ、サヤとよせて来るごとに、浅瀬の水草が、しずかにそよいで居る。

その池に落ち込む小川も、又一年中、一番好い勢でながれて居る。はるかな西のかん木のしげみの間から、現われて来る流れは、小さな泡沫を沢山浮べながら、さも愉快そうにゆれゆれて流れ、池へ入る口では、せばめられた水嵩が、周囲の草や石にあたって、心のすがすがするような高い、透明な響を起す。その傍に、小さな小屋を立ててすんで居る鯉屋の裏には、鯉にやるさなぎのほしたのから、短かい陽炎が立ち、その周囲の湿地には、粗い苔が生えて、群れた蠅の子が、目にもとまらない程小さい体で、敏捷に彼方此方とび廻って居る。

△静かに、かなり念入りな態度で本を読んで居た彼女は、不意に、自分はわきの竹籠に入って居る赤い鉛筆を削らなければならないのだと云う気がした。で、早速、勢よく、その思いつきで、退屈だった自分が助われたと云うような顔をして、それを実行しにかかった。けれども、いざ削るとなると、急にゲッソリと気がぬけて、彼女は、又元のように、鉛筆をしまってしまって本をとりあげた。