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わたしのたんていしょうせつ

私の探偵小説

坂口 安吾

「宝石 第三巻第一号」1948(昭和23)年1月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,677 字 · 4 页

青空文庫

一つの極った型はない。人各々自分流に色々の方法様式があるもの、流儀だの流派、主義だのと、いたずらに窮屈な限定をつけるのは最もその道をあやまり易いものなのである。

私の探偵小説は、私の趣味で、私もずいぶん疲れたとき退屈なとき探偵小説のゴヤッカイになり、恩も深いが、又、探偵小説にも本当に終りまでたのしませてくれる名作がめったにない、自分に及ぶものなら、ひとつ自分で名作を書いて同好の士の退屈のひとゝきにたのしいオクリモノをしてみたい、そう考えているうち、暇々に自分で構想をねってみて、これなら同好の士に馬鹿馬鹿しいとかツマラナイとか思われないだけのオクリモノになるだろうと考えて「不連続殺人事件」を書きだしたのである。

これは元来「宝石」へ載せる約束のものであったが、今年の春から用紙割当で雑誌が減ページとなり、一冊の雑誌にいくつの作品ものせられなくなった。そこで数に限りの探偵雑誌に、素人の私がわりこんで連載小説など書いては、探偵雑誌にしか作品を売ることのない専門作家の人たちのスペースをとり、好ましいことじゃないと思ったから、どっちみち私が書かねばならぬ方面の純文学雑誌に載せることにしたのであった。