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わたしのみただいがく
私の見た大学
戸坂 潤
「三田新聞 第三七〇号」1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,841 字 · 4 页
アカデミシャンとは他ならぬ大学味に富んだ人間のことである。今では大学に対して経済的な利害をほとんど全く有たぬ私であり、仕事の上でもあまり大学の影響を蒙っていないと思う私であるが、夫がなおアカデミシャンの性質を失わないとすると、大学の力は実に大きいと言わねばならぬ。
勿論私はジャーナリストを職業としている。H・G・ウェルズは自らジャーナリストを以て誇りとしているが、そういう意味でもさし当りはよいし、レーニンが党員名簿にジャーナリストと書き込んだというから、そういう意味ならなお更光栄である。ところがこのジャーナリストがアカデミシャン風なものだというのはどういうことだろうか。私の風采が最も貧弱な大学教授に類似しているからでは、よもやあるまい。恐らく私の書くものにどこかそういう特色があるからだろう。なる程私は例えば労働者風には物を書かない、又文壇の文士のような書き方でも物を書かない。それは慥かに、良いにつけ悪いにつけ、大学のお蔭である。
私は物を書くのに、物を考えずに書けない。と言うのは出来合いの言葉で話しを進めて行くことはどうも不得手である。之が話しをややこしくする原因だろう。