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わたしのみたアメリカのしょうねん

私の見た米国の少年

宮本 百合子

「少年倶楽部」1920(大正9)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,773 字 · 6 页

青空文庫

少年は、手に持っていた印刷物に鉛筆を持ち添えながら、皆の顔を見廻しました。その、横罫の厚い紙の面には、きっと寄附金の受取りに必要な、金額や会の主だった人の名や目的が刷って有るのでしょう。

「君は、なかなか立派に話しますね、大きく成ったら議員に成る積りですか、どれ」

集っていた人の中で、丁度其少年のお祖父さん位の年頃の紳士が、ポケットに手を入れて幾何かのお金を少年に渡しました。

私には、今日でもまだ其の少年の其那に高くはない、然し立派に明瞭な声や熱心な面差しを思い出す事が出来ます。何故その少年は其那にも私の心を動したのでしょう、私は、彼の一生懸命さと真面目さだと思います。私は決して、皆さんが停車場の広場で、白耳義の孤児を助けて遣りましょう、と賑やかに上手に喋って下すっても満足しませんでしょう。只、その子が仕たように、と云って、夕刊を売って下さっても、私は悦びませんでしょう。私には、其少年が、総ての事を――白耳義の孤児に何か仕て上げようと思い付いたのも、その為に会に入り、夕刊を売るのも、皆自分がよい事だと思い、自分が自分の心で為るべき事だと思って仕たと云う事が尊く感じられるのです、その少年は、決して人に賞められ度くて其那事をするのではないでしょう、利口だと思われ度くて話すのでもありません。