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あきのおやくそく

秋のお約束

小川 未明

「子供之友」1930(昭和5)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 980 字 · 2 页

青空文庫

「小さな葉が、こんなに大きくなった。」と、まあちゃんは頭の中で考えました。

三輪車をもっているのに、まあちゃんは、二輪車をほしがって、お母さんを困らせました。

「秋になったら買ってあげましょうね。」と、お母さんはおっしゃいました。

「秋って、いつなの?」と、まあちゃんは足をぴちぴちさせて、畳を打ちながら聞きました。お母さんは仕事をなさりながら、

「秋といいますと、あのけやきの木の葉が落ちるころなんです。」といわれました。

まあちゃんは、はやくその秋になってくれればいいと思いました。いま、風の吹くたびにいろいろの木の葉が、小鳥の立つように飛んでちりました。

いつしか、けやきの木も、すっかり坊主となってしまいました。

まあちゃんは、幼椎園からのかえりに、青い空にそびえた高いけやきの木を見あげて、こまかいとがった枝に鳴る風の音をさびしくききました。

「おうちへ帰ったら、きょうはどんなおやつかしらん?」と、そんなことを空想しました。しかし、お母さんとお約束をした二輪車のことはとっくに忘れてしまっていました。