轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あきのかさ
秋の暈
織田 作之助
在线阅读織田 作之助《秋の暈(あきのかさ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,643 字 · 4 页
薄暗い駅に降り立つと、駅員が、
「信濃追分! 信濃追分!」
振り動かすカンテラの火の尾をひくような、間のびした声で、駅の名を称んでいた。乗って来た汽車をやり過して、線路をこえると、追分宿への一本道が通じていた。浅間山が不気味な黒さで横たわり、その形がみるみるはっきりと泛びあがって来る。間もなく夜が明ける。
人影もないその淋しい一本道をすこし行くと、すぐ森の中だった。前方の白樺の木に裸電球がかかっている。にぶいその灯のまわりに、秋の夜明けの寂けさが、暈のように集っていた。しみじみと遠いながめだった。夜露にぬれた道ばたには、高原の秋の花が可憐な色に咲いていた。私はしみじみと秋を感じた。暦ではまだ夏だったが……。
かつて、極めて孤独な時期が私にもあった。ある夜、暗い道を自分の淋しい下駄の音をききながら、歩いていると、いきなり暗がりに木犀の匂いが閃いた。私はなんということもなしに胸を温めた。雨あがりの道だった。
二、三日してアパートの部屋に、金木犀の一枝を生けて置いた。その匂いが私の孤独をなぐさめた。私は匂いの逃げるのを恐れて、カーテンを閉めた。しかし、その隙間から、肌寒い風が忍び込んで来た。