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かがくがへそをまげたはなし
科学が臍を曲げた話
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,453 字 · 9 页
例えば青森で出すと上へ上って門司の上空で電気天井にぶっつかり今度は反射して台北へ下りてくるという風に、下りたところに受信機があれば聴える。この電気天井へ反射するため、短波は遠方でもよく聴える。中には下りて来たのが又地面にあたって反射し、再び電気天井にあたって反射し、もう一度下へ下りて来るというのもあります。しかし要するに、電波は上へ上っても、電気天井で跳ねかえされることが判りました。
ところが例の超短波になると、いくら電力を増しても届かぬので、一体どこへ行ってしまうのだか判らない。狐に鼻をつままれたような恰好で、大迷宮事件にぶっつかったとでも云いたいところです。使いに出した者が途中で煙のように消えてしまうのですから、これは面妖な話。
ところが其の後だんだん調べてみると、少しずつ判って来ました。そして遂に確かな結論が生れて、人々は「なアーんだ」ということになりました。超短波は一体何処へ行ったのか。地表と電気天井の間で煙のように消えてしまったものではなく、実に電波にとっては金城鉄壁だと思われていた電気天井をばまるで籠の目から水が洩るように、イヤそれよりもX光線が木でも肉でも透すように、超短波は電気天井をスースー外へ抜けていたのでした。