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かがくとぶんがく
科学と文学
寺田 寅彦
「世界文学講座」1933(昭和8)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,562 字 · 50 页
こういうふうに見ると、すでに前条に述べたような「人生の記録と予言」という意味での芸術としての文学の真諦に触れるものは、むしろ前者よりも後者のほうに多いということになりはしないかと思われる。そうして後者のほうは、同時にまた科学に接近する、というよりもむしろ、科学の目ざすと同一の目的に向かって他の道路をたどるもののようにも見えるのである。
以上の所説は、一見はなはだしく詭弁をろうしたもののように見えるかもしれないが、もし、しばらく従来の先入観をおいて虚心に省察をめぐらすだけの閑暇を享有する読者であらば、この中におのずから多少の真の半面を含むことを承認されるであろうと信ずる。
それはとにかくとして、現在において、科学者が、科学者としての自己を欺瞞することなくして「創作」しうるために取るべき唯一の文学形式は随筆であって、そうしてそれはおそらく、遠き「未来の文学」への第一歩として全く無意味な労力ではないと信ずるのである。
広義の「学」としての文学と科学
随筆は論理的な論理を要求しない。論理的な矛盾があっても少しもそれが文学であることを妨げない。しかしそういう場合でも、必ず何かしら「非論理的な論理」