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かがくのじょうしきのため

科学の常識のため

宮本 百合子

「新女苑」1940(昭和15)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,479 字 · 19 页

青空文庫

情感をゆたかに高めるというとき、それがどんなに多くの多様な光りを智慧からうけるものであるか、理智と感情とは対立したものでなくて、流水相光を交し、行動とからんで一体として生彩を放つものであるかということを、私たちは感情世界の新しい息づきのためにも実感しなければなるまいと思う。女の肉体と精神との美の標準は変って来ている。その一つの様相として、そのこともいえるだろう。

さて、「科学の学校」がこれからの夏の一日にめぐり合う運命はあるときは深い樹蔭へたずさえて行かれて読まれるのかもしれない。ある日は、私がそれをよんだように電車の中でつとめの行きかえりに読まれるのかもしれない。

第一話から第五話まで、コフマンは太陽と七つの惑星、そのなかの一つである地球、その地球のまわりの空気などについて語っている。宇宙の偉大さを感じさせるこの部分は、私たちに岩波文庫に出ている「史的に見たる科学的宇宙観の変遷」(寺田寅彦訳)を思いおこさせる。人類が宇宙へおどろきと好奇の心を向けて以来、その宇宙観察はどんなに推移して来ているかがこの本には述べられている。星と星との距離の測定についても、祖先たちは観測の条件の素朴さからさまざまの間違いもした。