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かがくほうほうろん
科学方法論
戸坂 潤
「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页
ば、社会概念こそ歴史概念の中枢でなければならないと考えられるであろう。今はもはや歴史を吾々の現実の関心から遠ざかった過去の事物と見るのでなくして、現に吾々を動かし、又吾々が現にその内に於て動き得るような、そのような現実の運動として見るならば、歴史は常に社会に於てこそ見出されるべきであろう。この場合、あくまでも歴史と社会との区別に執着するならば、それは無意味であると云わなければならない。もし歴史を文化概念に帰着せしめることによって、之を社会から区別し得ると考えるならば、社会――それは自然概念に帰着する部分をもつ――を除外した文化概念こそは、文化の正に代表的な観念的概念に外ならないであろう。――さて歴史概念と社会概念とが現実的に云って分離されてはならないものであるならば、両者の混同は批難されるべき混同ではなく、却って両者を区別したままに放任しておくことこそ批難されるべき不充分さと見えるであろう。科学論の歴史概念は歴史の観念的概念に過ぎない。観念的概念はその内部に於て何の矛盾も不当も有つものではないが、之に止まるということは、即ち歴史の現実的概念に眼を蔽い況して積極的に之を排除することは、必然的に事実上、批難を呼び起こす理由があるのである。