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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

この世界に一定固有な科学が正に物理学なのである。

自然にとって一定固有であり、従って本格的である処の、物理学のこの特有の資格は、併しながらまだ物理学の権威の半ばを保証するだけである。というのは、物理学の権威として寧ろまず第一に指摘されるものは、それが数学を含みその限り精密であるという点にあるのであるから*。そこで吾々はこの点を追求して見なければならない義務を負うているわけである。そしてこの点の追求はやがて遂には、物理学の向の本格性へ、即ちそれが有つ物理学的世界へ、それによって又この世界の基礎に於ける方法と対象との合致へ、具体的な姿を以て、帰着して行くであろう、それを今之から吾々は見よう。

* 物理学が数学的である点に於て科学としてのその権威を示していることを哲学的に特に指摘したのは、カントの功績の重大なものの一つである。併しこの点を最も高調したのは――コーエンを通って――ナトルプであると思われる(P. Natorp, Die logischen Grundlagen der exakten Wissenschaften は之を代表する)。

科学はその内に数学を含む限り精密であると呼ばれる。