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かがくほうほうろん
科学方法論
戸坂 潤
「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页
処が惰性の法則は、質点の運動が最短線に沿うのを本来の状態とする、ということを意味することが出来るから、この関係は、重力と空間(又世界)との或る種の同値を云い表わすことになり得るわけである。静止せる座標系に干与して測定する時加速度運動をなすと見做される他の座標系は、後者の座標系に干与しては静止していると見做される。従って座標の選択によって、即ち座標軸の変換によって、体系の加速度を消滅、生起させることが出来る。加速度は世界の座標軸の変換に相対的である。世界の座標軸の変換によって生起する(従って又消滅し得る)加速度が見出される体系、即ち一つの力の場――遠心力・求心力等――は、アインシュタインによって重力に相当する――同値である――ものと仮定された。この同値の原理はそれ故、重力と、世界の座標軸の変換との、同値をこの場合云い表わす。
併し本来の重力の場は、例えば静止せる物質の周囲に生じる恒常なる重力の場は、向の場合のように変換によって消滅することが出来ない。この場合の重力の場は向の場合のそれと一つではない。後者は前者の特殊な場合であるであろう。ミンコーフスキーの世界に於て、法則は世界線――ヴェクトル(特殊のテンソル)――の不変な関係として与えられた。