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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

歴史科学的概念構成が個別化にあると考えられる所以が之である。――歴史的事実はこのようにして個別的でなければならないが、そればかりではなく、吾々への意味関係は吾々――人々――が個人を意味する以上個性的性格的でなければならないから、歴史的事実は又その限り個性的な規定を受けていなければならない。歴史的事実に於ける因果関係はそれ故、それ自身個別的である点に於て且つ又個性的なるものとして吾々へ意味関係をもつ点に於て、個別的でなければならない。かかる因果は単に個々のものに就いての因果であるばかりではなく――それならばフリッシュアイゼン・ケーラーの云うように自然科学も夫を取り扱うことが出来る――、吾々がその因果の連鎖を吾々への意味関係に於て性格的――個性的――に追求しなければならないような、因果である*。因果のこのような個性的・性格的な追求は自然科学に於ては許されないであろう。ヴェスヴィオの噴火の原因は、その無限の原因にも拘らず、常に一義的に決定し得られるべき性質を持っている。然るにフランス革命の原因は何であるか。ブルボン王朝の失政であるか、それとも市民階級の台頭であるか、それともモンテスキューやルソーの思想の影響であったか。