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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

それ自体に独存的に存在していながら、偶々主観の鏡に写ることによって吾々に通達出来るようになるような、そのような存在でもなく、主観の普遍的必然的構成に於て初めて浮び出るようなそのような存在でもなくして、吾々の存在はまず第一に現象するのであった。そしてこの現象が出逢うということである。そして出逢うことの最も根本的な――根本的の意味は前を見よ――出逢い方は世界に於て出逢うことに外ならない。世界に於て出逢うとは関心を以て相会することでなければならなかった。この意味に於て吾々は語ることが出来る、最も根本的な存在は交渉的存在であると。

* Heidegger, Sein und Zeit, S. 7 参照。

** 同 S. 52 ff 参照。

*** 同 S. 180 ff. 参照。

世界に於て――交渉的存在に於て――出逢うと云ったが、何が何に出逢うのであるか。それは吾々が存在に出逢うことである。併しこの吾々は形而上学的実体又は認識論的主観ではなくして又一つの存在である。この存在である吾々が又一つの存在に出逢う。かくしてこそ吾々は存在に通達することが出来、又これであればこそ吾々は存在を問う理由と可能と必然とを有つのである。