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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

第三の場合は方法と対象とへ同じ権利を与える点に於て形式的に整っているには違いない、けれどもその第三者とは何か。吾々は今方法と対象との二つの概念しか知らない。第三者は「或るもの」の外何とも云うことは出来ない。処がそのような「或るもの」から出発することは常に不可能である。何となれば或るものとは、何物の手懸りにもなることが出来ないという意味に於て、一つの逃避的概念であるからである。たとい方法と対象との総合がそれであると云っても、その場合のように単に総合するための総合こそは、折衷の概念がそれを説明しているように、一つの代表的な逃避的概念に外ならないであろう。かくして残るものは第四の場合――相互決定――だけである。第一にそれが形式上の整備を有っていることは明らかである。次にそれは出発の手懸りとなることが出来るに違いない。相互決定の概念が決して逃避的概念ではなくして生産的な概念であることを、私は次第に明らかにして行けるであろうから。

* 方法に対するものとして人々は体系とか主題とか資料とかを挙げるかも知れない。おのずから明らかとなる理由によって私は之からは出発しない。