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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

だが科学(乃至広く学問)をこのように人間の精神能力に従って分類するということは、ベーコンでは実は、特に人間の認識に於ける理性の役割を尊重することを意味している。之は近世初期のイギリス・ブルジョアジーの、スコラ哲学的科学意識に対立する実証的な自然科学的精神を、物語っていたのである*。

* ベーコンのこの有名な分類は、それが近世自然科学の意識的高揚に相応していたればこそ、十八世紀から十九世紀に至るまで、殆んどそのまま保存された。フランスのアンシクロペディスト達も亦之を、その『百科辞典』(1751)そのものの基本として採用した。ディドロは云っている、「吾々は、云わばまだ学芸というものの存しなかった時代に、学芸の広範な百科辞典のプランを描いた大法官ベーコンに、主として負う処がなくてはならぬ。」――アランベールはこの分類に手を加え、例えばベーコンが無視した数学の位置などを明らかにして、之を保存する役割を引きうけた。

社会科学乃至歴史科学の意識の高揚と共に持ち出されたものは、サン・シモン乃至オーギュスト・コントの科学分類である。ここでは、プラトンやベーコンの主なる分類原理であった人間の主観的能力の代りに、事物それ自身の秩序による分類原理が持ち出される。