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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

之は科学的操作としてばかりでなく、吾々が普通用いる常識的操作としても、最も日常的であり従って又最も基本的で一般的なもので、例えば一切の評論に用いられる多少とも理論的な操作も、之にぞくする。だから又自然科学であっても、之を援用しなければ一つの理論も否一つの実験さえも、不可能となる。例えばエーテルの存在するしないを理論づけ又実験するにも、一体エーテルなる概念が歴史的に何であるかを先ず分析してかからなければ、無駄に終る。エーテルが極微な抵抗のない可秤性を欠いた物質であるのか、それとも単に何等かの力の場としての空間のことでいいのか、を決定しないで、エーテルに関する理論も実験も意味がない。物質概念の分析が不充分だと、物質が消滅したしないで、形而上学的な不毛な議論をしなければならなくなる。又例えば重力という物理学的術語は、常識的な観念としての重さや抵抗力の観念から全く独立には、なぜ重力と呼ぶのかが遂に全く理解されなくなるだろうが、そのようにこの分析的操作は、専門的な範疇と日常的な観念との媒介点を明らかにし、科学の尤もらしさを保証するという点で、最も重大な理論的機能を有つのである。