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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

――社会科学上の理論が自然科学を制約した例としては、マルサスの人口理論(資本主義がそれ自身に自然的な矛盾を持つことを初めて見抜いた正統派経済理論)がダーウィンの自然淘汰理論に示唆を与えたことが、挙げられるのを常とする。

* ソヴェート・ロシアを除いて、マルクス主義による自然科学的研究は、初めはドイツに於て最近ではフランスに於て、相当盛大だと見ていい。例えば A la lumi※(グレーブアクセント付きE小文字)re du Marxisme (Sciences physico-mathematiques, sciences naturelles, sciences humaines)1935 其の他に見られる如き現象に注目。日本ではこの種の研究はまだ極めて乏しい。

以上は社会機構によって自然科学が如何に制約されるかという、自然科学の被制約性を概観したのであったが、云うまでもなくこの点は、自然科学が社会に於ける一イデオロギーである限りに於て、社会と自然科学との間の根本的な関係を示すものであった。社会に於ける一イデオロギーとしての自然科学が、第一次的に云って(尤も自然科学に限らず一般に科学乃至イデオロギーがそうなのだが)、社会から制約を受けることを常にその根本条件とするのは、当然だ。