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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

* この点に就いては拙稿「生物学論」(岩波講座『生物学』の内)〔本全集第三巻所収〕に多少詳しい。――なお之及び之以外の領域に於ける自然弁証法の諸問題に就いては、拙稿『イデオロギー概論』及び同じく『現代哲学講話』〔何れも前出〕の中の当該項を参照。

併し物質の第一規定が運動であったことを、今思い起こさねばならぬ。と云うのは、物質は変化発展転化するのであった。之こそ物質そのものの弁証法、自然そのものの弁証法、の第一義的な場合でなければならなかった。宇宙は天体から地球、地球上の諸物質や諸生物(更には人間社会もそうだが)を含めて、時間的過程である。宇宙は、物質は、自然は、この歴史的運動をその根本法則としている。自然の歴史的運動こそ、自然弁証法の最も根本的で最も代表的な場合に他ならない。

時間はここに特別な意味を有って来る。時間は哲学者によって様々に考えられている。心理的時間、人間史的(歴史学的)時間、神学的時間、そして物理学的時間。だがこの内根源的なものは最後の物理学的時間であって、他の時間観念も実はここから導かれるのである。この宇宙的時間こそ、一切の存在(自然ばかりでなく人間社会の歴史までも含めて)の秩序を与える処のものなのである。