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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
そしてブルジョアジーのプロレタリアートに対するこの支配が、余剰価値の再生産の過程と共に、益々強化されて行く処の社会なのである。ブルジョア社会に於ける国家はブルジョアジーの階級的支配のための最高の機関となる*。
* この資本主義社会の現在に於ける諸矛盾とそれによる新しい社会制度への蝉脱とは、社会科学的世界の最も生彩のある内容であるが、史的唯物論のごく全般的な規定に止まらねばならぬ今の吾々は、之を省略することを余儀なくされる(之に就いては前述の一般的な部分及び前出拙稿「唯物史観とマルクス主義社会学」二九頁以下を見よ)。
さて以上のようなものが、史的唯物論(社会科学的世界)の具体的内容の、ごく基本的な部面に限った抽象的な概観であった。夫が同時に、社会的諸科学の位置をも明らかにしたことを、読者は見落さなかったろう。――之と自然弁証法との連関に就いてはすでに述べたが、この二つの科学的世界を比較して目立つことは、史的唯物論が自然弁証法に較べて、著しく組織立った形にまで発達しているということである。だが一旦、ブルジョア社会科学の科学的世界に足を踏み込めば、その科学的世界の統一どころではなく、ありと凡ゆる立場と建前とのアナーキズムさえが支配していたことを、忘れてはならぬ。