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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
と『政治学』とに端を発していると共に、他方に於てはスミス自身の倫理学(著書 The Theory of Moral Sentiments)乃至哲学と根本的な連絡を持っている*。スミスの思想と理論とがD・ヒュームの哲学に負う処の多いのはスミス自身が語る通りだ。
* スミスは分業の原理を論じて云っている、「如上幾多の利益を生ずる此分業なるものは……人性内部の一種の性癖より、頗る遅緩に且つ漸進的ながらも、然も必然的に発生し来れる結果に外ならず。……或物を他の物と取引し交換し交易するの性癖即ち是なり。……此性癖は一切の人類に共通にして、他の動物には全く之を見ざる所に属し、……例令ば吾人が毎日食事を為すを得るは、屠肉者、醸造者、又は麺麭製造者の恩恵に依るに非ず、此等の人士が各自其利益を思うが為に外ならず。吾人は此等人士の慈悲に訴えずして其自愛心(Self-love)に訴え、吾人自身の必要を告げずして此等人士の利益を告げ、以て此等の人士より其供給を受くるなり」云々(『国富論』――岩波文庫版、上巻、二四―二六頁)。
即ちスミスによれば、社会に於ける労働生産力の根本条件をなす分業は、自愛心という人間性に、それ自身経済的な、或いは「経済人」