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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
ヘーゲルは組織に対して方法を軽んじるが、体系と方法とは対立するものではなくて単なる裏表にすぎない。そこで、科学はその方法によって、単なる知識から区別される、ということになる。科学の方法が何であるかに就いては、今ここで述べているわけには行かない(第三章を見よ)。
だが科学と単なる知識との間の、もう一つの大切な区別は、科学は単に個々人の主観に於て横たわる処の知識とは異って、社会に於て公共的に成り立つ処の、一つの客観的な存在だという処に存する。実は知識と雖も多くの場合、単に個人が主観的に持つ認識内容には限らないのであって、それが客観的な事物の反映・模写であった限り、社会に生存しまた生存した又生存するであろう他の多数の個人も亦、之を公有し得るのが当然だろう。知識も亦社会的に普及され歴史的に伝えられることが出来る。だが、之が著しく高度に公共化し又著しく判然と伝承され得る場合は、他でもない夫が科学の組織の一断片としての資格を得る時であって、科学とは、知識が社会的に普及され歴史的に伝承されるということ自身が、云わば組織化された場合を指すのである。知識の組織的な普及伝承の形式が科学なのである。