轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちごがふち

稚子ヶ淵

小川 未明

「早稲田學報」1906(明治39)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,097 字 · 8 页

青空文庫

」

と、堅く言い聞かせた。

その翌日のこと、二郎はいつもの山へ出掛けはしたが、偶然昨日、両親から言われたことを思い出して、池の畔りへは行かなかったのである。

やがてその日の昼頃となって、もう大分仕事に疲れてきて、休もうかと思っていると、遠くで自分の名を呼ぶ声が聞こえる。二郎は握っていた青々とした小枝を地上に落して、耳を傾けていると又呼ぶ声が聞こえるのである。確かに姉の声に相違がない。

二郎は空怖しくなって、林の中に慄んでいると、その声は漸々と近づく。……突如として自分の前に立ち塞がったものは、顔色の青晒めている女の姿! ぎょっとして見上げると頭髪は顔に乱れていて、物も言んで、自分を捕えたまま冷かにけらけらと笑い、またさも嬉しそうに、我が顔を覗き込んだ。

「行こう行こう、二郎ちゃん! 妾は先刻から大分待っていてよ。」

と無理にその場を押し立てて、何処ともなく連れ去ってしまった。

……二郎は何処へ行ったであろう、その晩はとうとう帰って来なかった。両親は非常に心配して、今日山へやらなければよかったと後悔をしていると、日暮方から鳴出した雷は益々すさまじくなって、一天墨を流したようで、篠突く大雨、ぴかりぴかりと電が目の眩むばかり障子に映って、その毎に天地も覆るように雷が鳴り渡る、その夜は両親は心配に泣き明した。