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ほだかだけやりがたけじゅうそうき
穂高岳槍ヶ岳縦走記
鵜殿 正雄
「山岳 五の一」1910(明治43)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,443 字 · 17 页
少々先きの嶮崖を下れば、梓川の本流と飛騨高原川の支流、右俣との水源地で、大きな鞍部、大槍に用のない猟手らは、常に此処を通って、蒲田谷方面に往復するそうである。四、五間向うに、数羽の雛とともに戯れている雷鳥、横合から不意に案内者が石を投じて、追躡したが、命冥加の彼らは、遂にあちこちの岩蔭にまぎれてしまう。此処が槍の直下だろうとて、荷物を委てて行こうとすると、もう一つ小峰があるとの事、で早々纏めてまた動き出す。途中、チョウノスケソウ、チングルマ、ツガザクラ、ジムカデ、タカネツメグサ、トウヤクリンドウ、イワオウギ、ミヤマダイコンソウ、等を見た。
十三 槍ヶ岳絶巓
小峰を越して少し登れば大槍、これから上が最も嶮悪の処と聞いていた。が穂高の嶮とは比べものにならぬ、実に容易なもの、三時四十分、漸く海抜三千百二十米突の天上につく、不幸にもこの絶大の展望は、霧裡に奪い去られてしまった、が僅かに、銀蛇の走る如き高瀬の渓谷と、偃松で織りなされた緑の毛氈を敷ける二の俣赤ノ岳とが、見参に入る、大天井や常念が、ちょこちょこ顔を出すも、己れの低小を恥じてか、すぐ引っこむ、勿論小結以下。