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そらにわくきんいろのくも
空にわく金色の雲
小川 未明
「こどものせかい」1953(昭和28)年6月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,576 字 · 13 页
」と、道すがら母に聞かされたことばは、正吉をせめるのでした。
正吉は、医者が自分の足を見て、なんというだろうか、このうえとも、自分たちをくるしめることに、なりはしないだろうかと、診察室へはいると、なんとなく不安に、足がふるえたのでした。
「なぜ、もっと早く、見せにこなかったのです。」と、医者は、まゆをひそめながらいいました。
「注射をしていただいたら、なおりませんでしょうか。」と、母はわが子の、身の上を気づかいながら聞くのでした。
「手おくれなので、注射がきかなければ、手術をするのですな。そうすると、二、三日入院しなければなりません。」と、医者はすこしの思いやりすらなく、ひややかに答えました。
医者のところを出ると、
「家へかえって、この水薬で、足のいたむところを、ひやしておいで。」と、母は正吉とわかれました。正吉は、母のいくさきを、聞かなかったけれど、たぶん、おじさんの家へいったのだろうと思いました。
やがて、日がくれてしまい、しばらくたって、母はかえってきました。
「世間で、金もちといわれても、たのんでいけば、金がないというものです。はじめてだし、こんどだけは用だてするけれど、つぎからは、おことわりだと、きっぱりいいました。