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くうちゅうふんぼ
空中墳墓
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页
おひとりだろうナ」
「イエス、サー」
「では、こちらへ御案内申しあげるんだ」
矢口の案内で、入口に相良十吉の姿が現われた。見るからに、ひどい瘠せ型の、額の広いのが特に眼につく紳士である。その額には切り込んだような深い皺が、幾本も幾本も並行に走っていて、頭髪は私と同じように真白であった。それでいて眼光や声音から想像すると、まだ五十になったかならないか位らしい。
「栗戸探偵でいらっしゃいましょうか」
「栗戸利休はわしです。さあどうかそれへ」
「先生で……」
あとは口の中で消して、ゴクリと唾をのんだ。泣きださんばかりの激情が辛うじて堰きとめられていることが、彼の痙攣する唇から読みとれた。
「昨日も御来訪下すったそうですが、生憎で失礼をいたしました。……では御用件というのを承りましょうか」
私は、頬髭を軽くつまみあげながら、早速、話を切りだしたのであった。
「私は、先生が、御依頼した事件につき、非常に迅速に、しかも結論を簡単明瞭に、探しだして下さるという評判を承って、大いに喜んで参ったような次第なのですが……」
「それで――お識りになりたい点というのは」
「ハイ。その、それは、今から二十年前のことになりますが――先生もよっく御記憶かと存じますが――東京を出発して無着陸世界一周飛行の途にのぼったまま行方不明となった松風号の最後を識