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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

「なるほど」

「ところが最近、恐しい発見にぶつかりました――というのはあの松風号にのって出発した二人の内、一人の方が……」ここで相良十吉は何を思い出したのか、ブルブルと身体をうちふるわせ、じっとあたりに気を配るようであったが、「一人の方が、現にこの東京に帰ってきているのを、この私が見たのです!」

そう言い終ると相良十吉はワナワナふるえる手を挙げて頭髪をかきむしった。

「それは人違いではないのですか」

「いえ、なんで人違いなもんですか。たといそれが彼の幽霊であったとしても、それは人違いではないのです」

相良十吉はもはや冷静を装いきれないという風に、息をはずませて早口に語り出した。

それによると、彼は今も越中島の航空機製作会社につとめているが、今では技師長の職に在る。それは今から七日程前のことだった。其の日は重役との相談が長引いたので、会社の門を出た時は、もう薄暗かった。彼の家は月島にあったので、いつも越中島の淋しい細道を通りぬけて行くのであった。そこは、越中島埋立の失敗から、途中に航空研究所と商船学校のある外は人家とてもなく、あたり一面、気味の悪い沼地になっていて、人の背丈ほどもある蒲が生い繁っていた。