轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あきや

空家

宮崎 湖処子

「国民之友」1889(明治24)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,554 字 · 30 页

青空文庫

一つのほかあるまじ」「卿もさよう思いたまうか」「さようそのほかに詮方もなければ」「さらば早やぜひなきことか」と、阿園は再び大息して、佐太郎の顔をジッと見る、佐太郎もその顔をジッと見たり、やがて日暮るれば佐太郎は暇をつげぬ、

げに彼は阿園を慰むるの務めをもちたりき、阿園はただ彼が入来のみをもて満足せる時にも、彼はなお阿園を喜ばしめんと思えり、彼は亡友の遺物と逸事の、いかにその目的を答えしかを観てひそかに笑みたり、次の日彼は家の床の下を捜りて、乗り崩したる竹馬を寡婦の家に持ちゆきて曰く、これは兄貴が十五歳の時大雪の中を競走して勝ちを得たる竹馬なりと、翌日は黒塗りの横笛をもたらしゆき、こは氏神の秋祭に彼が吹きて誉れを得たるものなりと、二三日の後また一個の南天の盆栽を携えゆき、これは彼が生前われより兄費に譲るべく約せしものと、もし阿園が望まんには彼はなお幾個の遺物をも蒐むべかりし、されど今は寡婦の満足ようやくに薄らぎ、遺物という詞も夫という詞も、早やその耳に幻力を失いたり、

かくて忌中の三分の二は早や過ぎぬ、佐太郎が阿園を訪うこと、初めの一七日は午前にして、その後は多く午後に来たり、ようやくに夕景となり、このごろはまた朝昼夕の差別もなくなり、時には朝より夕までおりつづけて勇蔵の伝記を叙べたり、しかして