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くうそうにちろく
空想日録
寺田 寅彦
「改造」1933(昭和8)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,488 字 · 21 页
特別な設計をした振動台の上に固定された椅子に被試験者を腰掛けさせ、そうしてその台にある一定週期の振動を与えながらその振幅をいろいろに増減する。そうしてちょうど振動感覚の限界に相当する振幅を測定する。次には週期を変えて、また同じ事をする。そういうふうにしていろいろな週期に対する感覚限界の振幅を求めてみると、おもしろいことには被試験者のそれぞれに固有な一定の週期のところで感覚が最も鋭敏である。すなわち、その週期の時に、いちばん小さな振幅あるいは加速度を感得しうるというのである。さらにおもしろいことは、その特別な週期が各人の身体の構造の異同で少しずつちがい、それが結局は各個人の、腰掛けた位置に相当する固有振動週期を示すものらしいということである。
このおもしろい研究の結果を聞かされたときに、ふと妙な空想が天の一方から舞い下って手帳のページにマークをつけた。それを翻訳すると次のようなことになる。
時間の長さの相対的なものであることは古典的力学でも明白なことである。それを測る単位としていろいろのものがあるうちで、物理学で選ばれた単位が「秒」である。これは結局われわれの身近に起こるいろいろな現象の観測をする場合に最も「手ごろな」