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くうしゅうかのにほん
空襲下の日本
海野 十三
「日ノ出 付録 國難來る! 日本はどうなるか」1933(昭和8)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,527 字 · 30 页
「今夜は、どうやらやってくるような気がしてならん」と高射砲隊長のK中尉がつぶやいた。
「やってくると申しますと……」今日着任したばかりの候補生が訊きかえした。「敵機襲来なんですか?」
「うん」K中尉は、首を上下に振った。
「俺の第六感は外れたことがないのだ。それにしても、もう午前三時を過ぎた頃じゃろうが……」
中尉は左臂をちょっと曲げてウラニウム夜光時計をのぞきこんだ。
「しかし隊長どの、防空監視哨からは、何の警報もないじゃないですか。監視哨は、東京を取巻いて、どこの線まで伸びているのですか」
「監視哨は、関東地方全部の外に、山梨県と東部静岡県とを包囲し、海上にも五十キロ乃至七十キロも伸びているのだ。もっと明白にいうと、北の方は勿来関、西へ動いて東京から真北の那須、群馬県へ入って四万温泉のあるところ、それから浅間山、信州の諏訪の辺を通って静岡へ抜け、山梨県を包み、それからいよいよ南の方へ、伊豆半島の突端石廊崎から、伊豆七島の新島、更に外房州の海岸から外へ六七十キロの海上を点々と綴り、鹿島灘の外を通って、元の勿来関へ帰るという大円だ。これが防空監視哨の最も外側に位置をしているもの、それから以内には、三重四重に監視哨を配置してあるんだが」