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くうしゅうかのにほん
空襲下の日本
海野 十三
「日ノ出 付録 國難來る! 日本はどうなるか」1933(昭和8)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,527 字 · 30 页
一、二、三。
「ウン」
どどどーッ、どーン。
血のように真紅な火焔が、立ち並ぶ砲口からパッと出た。トタンに、照空隊はスーッと消えて、あたりは真の暗にかえる。だが眼の底には、さっきの太い光の柱が焼けついていて消えない。
陣地の隊員はひとしく、何事かを予期して真暗な上空を睨み、瞳孔を一杯に開いた。
ぱーッ。
紅と黄との花傘を、空中に拡げたように、空一面が思いがけない光と色とに塗られた。その光のうちに、弾かれたように飛び散る敵の司令機があった。二番機も、あおられたように一揺れすると、白い両翼がバラバラに離れ散った。
そのあとに恐ろしい空気の震動が押し寄せたかと思うと、俄かに天地はグラグラとゆらいだ。砲弾の作裂音だ。
敵機は黄色い煙りをあげ、火焔に包まれながら、錐もみ状態になって墜ちてくる。
「敵は十五台の爆撃機よりなり、三隊に編成せられたり。高射砲隊の沈着勇敢なる戦闘を期待す」――防空司令官から、激励の辞を交ぜたメッセージが来た。
立川の戦闘機隊が、有利な戦闘位置を獲得するまでは、高射砲隊の独り舞台だった。
「あれは、何だッ」
三河島の方向が、ポッと明るくなった。