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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

「御覧なさい、中佐殿。お茶の水の濠の中から、何か、キラキラ閃いているものがあります」

「なるほど、何か閃いているね。おお、君あれは、信号らしいぞ」

「信号ですか」参謀は、双眼鏡をあてて、その閃いているものを注目した。

ピカ、ピカ、ピカ、ピカーッ、ピカ。それを繰返している。それは聖橋と、お茶の水との中間にあたる絶壁の、草叢の中からだった。

「応答して見ましょうか」参謀は、尋ねた。

「やって見給え」

「はッ」参謀は、浅川曹長に命令を伝えた。

司令機の尾部から、白い煙がスー、スーッと、断続して、空中を流れた。

それが、判ったものか、ピカピカ光るものは、鳥渡、動かなくなったが、間もなく今度は、前よりも激しく、閃きはじめた。

「確かに、こちらを呼んでいるのですね。あれは、硝子板を応用した閃光通信です。おい通信兵、頼むぞ」

背後の座席にいた通信兵は、このとき大きく肯いて、先刻から用意していた白紙に、鉛筆を走らせていた。

軈て、地上の信号を、翻訳し終ったものと見え、一枚の紙が、中佐のところへ、届けられた。さて、そこに書き綴られた文章は――

「レイノジケンニツキ、シキユウ、セキガイセンシヤシンサツエイタノム。