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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
三三二六九二七五、四三六八、四三二九、四八六九、四三二七、……紅子」
「ああ、矢張り紅子さんだったんだ!」
真弓は頓狂な叫び声をあげて、その小さい紙片を握りしめた。さっき、自動車の幌の裡に、チラリと見せた片面が、どうも紅子に似ていると思ったが、矢張りそうだったんだ。
「母アちゃん、紅子さんて、誰?」
「紅子さんて、母アちゃんのお友達なのよ」
真弓は、紅子から帆村へ宛てた、訳のわからぬ暗号めいたものに、自分でも可笑しいほど、何だかイヤな気がしたが、次の瞬間、そんなものは何処かに吹きとばしていた。
ひょっとすると、帆村の探しているものが紅子の手に入った報せなのかも知れないと思ったので、紅子の頼みどおり、一時も早く、東京の帆村へ知らせてやらなくてはなるまいと思った。
そこへ兄の浩が、フウフウ云いながら、帰ってきた。真弓は手短かに、一部始終を兄に話し、紅子の手紙を東京へ電報することを相談した。
「そりゃ訳はないよ」浩は云った。
「丁度いま、磯崎の防空監視哨と東京の中央電話局との直通電話を架設して来たばかりだ。あれで話せば、直ぐ東京が出る」
「じゃ、あたし直ぐに行ってみますわ」