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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
遥か後方からは、爆撃機の一隊が、千百メートル、千二百メートルと、だんだん高度を高めて行くのが見えた。厚いフロートのついた大きな飛行艇は、やっと波浪の高い海面から離れ、主力艦の列とすれすれに飛んでいた。
一秒一秒と、両軍の陣形は、目に見えて著しい変化を示して行った。息づまるような緊張が、兵員たちの胸を、ビシビシと圧しつけて行った。
ぱッ、ぱッ、ぱッ、ぱッ――
敵軍の偵察艦隊から、殆んど同時に、真黄色な煙が上った。十門宛の八吋砲が、一斉に火蓋を切ったのだった。
ど、ど、ど、どーン。
ぐわーン、
加古、古鷹、青葉、衣笠の艦列から千メートル手前に、真白な、見上げるように背の高い水煙が、さーッと、奔騰した。どれもこれも、一定の間隔を保って、見事に整列していた。もう千メートルほど、近かったら、我が軍の精鋭なる巡洋艦隊は、可也大きい損傷を蒙る筈であった。
五秒、十秒、十五秒、煙りが、斜横に、静かにずれて行った。
シカゴ、ルイズヴィル、ハウストン、イリノイ、フェニックスの砲口は、次の射撃に備えるために、じわじわと仰角をあげて行くのが見えた。
司令艦衣笠の司令塔からは、全艦へ向って急遽命令が伝達された。