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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

「うん、判ったぞオ。これは怪力線に違いない。噂さに聞いた怪力線の出現。ああ、そうだ。紙洗大尉の奴、井筒副長から何か言われてたっけが、あれが『天佑』の正体なんだな」

真下を見ると、陸奥の艦橋に、何だか見慣れない奇妙な形の器械が、クルクルと廻転しているのが見えた。そうだ。佐世保軍港で、得態の知れぬ兵器を搬入したことがあったが、あれに違いない。

ああ、新兵器、怪力線!

皇国は美事に救われた。

怪力線の発明者は誰だ。

千手大尉は、旗艦陸奥を呼ぶために、短波のラジオ受信機のスイッチを入れた。

するとどうした具合であったか、感激に満ちた若い女性の声が聞えて来た。

「おや、この戦争の真唯中だというのに、婦人が一体何を放送しているのだろう?」

人一倍、呑気ものの千手大尉は、それをよく聞いてみるつもりで、ダイヤルをグッと廻した。厚い飛行帽の中にとりつけられた受話器には、手に取るような、その女性の言葉が聞えてきたのだった。

「――皆さん、わが帝国は、遂に勝ちました。さしも世界に誇った米国の太平洋大西洋の聯合艦隊も、わが海軍の沈着な戦闘によって、半数は、太平洋の海底深く沈み、残りの半数は戦闘力を失い、或は白旗をあげて降服いたしました。