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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
因に、該主力は、百十人乗の爆撃飛行艇三台、攻撃機十五台、偵察機三十台、戦闘機三十台及び空中給油機六台より編成せられ、根拠地西湖と大阪との距離は千五百キロ、東京との距離は二千キロである。終り」
参謀が発表した驚くべき空中襲撃の警報は、帝都全市民にとって、僧侶がわたす引導にひとしかった。高声器の前に鼻を並べた誰も彼もは、お互に顔を見合わせ、同じように大きな溜息をついたのだった。
ああ、敵機の空中襲撃!
いよいよ帝都の上空に、米国空軍の姿が現れるのだ。
あの碧い眼玉をした赤鬼たちが、吾等の愛すべき家族を覘って爆弾を投じ、焼夷弾で灼きひろげ、毒瓦斯で呼吸の根を停めようとするのだ。
「いよいよ来るねッ」丸の内の会社から退けて、郊外中野へ帰ってゆく若い勤人が、一緒に高声器の前に駆けこんだ僚友に呼びかけた。
「うん」その友人は、鼻の頭に、膏汗を滲ませていた。「警備司令部なんてのが有るのは、始めて知ったよ。驚いたネ」
「一般警報だというが、敵機の在処や、台数など、莫迦に詳しすぎるじゃないか。民衆には、敵機襲来すべしとだけアナウンスする方が、無難ではないかしら」
「いや、そうじゃないよ」