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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
折角買ってよこしたのに喜んでもやらねえと云ってナ」
「なるほど、多少変ですかね」
「尤も、紅子と素六とは、清兄さんも話せるようになった、だがこれは日頃の罪滅ぼしの心算なんだろう、なんて減らず口を叩きながら、盛んにポリポリやってたようだ」
「清二は乱暴なところがあるが、根はやさしい男ですよ」
「そうかな、お前もそう思うかい。だが潜水艦乗りを志願するようなところは、無茶じゃないかい。後で聞くと、飛行機乗りと潜水艦乗りとは、お嫁の来手がない両大関で、このごろは飛行機乗りは安全だという評判で大分いいそうだが、潜水艦のほうは、ますます悪いという話だよ」
「それほどでも無いでしょう。ことに清二の乗っているのは、潜水艦の中でも最新式の伊号一〇一というやつで、太平洋を二回往復ができるそうだから、心配はいりませんよ」
「だが、水の中に潜っていることは、同じだろう。危いことも同じだよ」
そこへ廊下をバタバタ駈けてくる跫音が聞こえてきた。ヒョックリ真ンまるい顔を出したのは中学生の素六だった。
「お父様も、兄ちゃんも、あっちへ来て下さいって、御膳ができたからサ」
「そうか、じゃお父様、参りましょう」