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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

「灯火をかくして下さァい!」と消し忘れた家の戸を叩くけたたましい音。……そんなものがゴッチャになって、町や村は必死の非常管制ぶりだ。

午後九時半、○○海に出動していた第四艦隊から報告が来た。

「艦隊ハ午後九時二十分北緯四十度東経百三十七度ノ洋上ニ於テ、高度約二千米ヲ保チ、南東ニ飛行中ノ敵超重爆撃機四機ヲ発見セリ、直チニ艦上機ヲ以テ急追攻撃セシメタルモ、天暗ク敵影ヲ逸スルオソレアリ」

これで敵機の強さがわかった。やはりS国が世界に誇る超重爆撃機をもって攻めてきたのだ。それは、一台にすくなくとも五トンの爆弾を積んでいるはずだ。爆弾にもいろいろあるが一トンの破甲弾なら、十階の鉄筋コンクリートのビルディングも、屋上から一階まで抜けてメチャメチャになる。しかし敵機の持ってくるのは大部分が焼夷弾であろう。これには一キロ以下のや二十キロ位のやいろいろある。落ちて来るとたちまち三千度の熱を出し、鉄でもなんでもトロトロに焼き熔かしてしまうのだ。この焼夷弾をドンドン落して、日本の燃えやすい市街を焼きはらってやろうというのが、敵の作戦なのだ。

また、なかには恐ろしい毒瓦斯弾も交っているかも知れない。