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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

警戒管制に入ったので、町は少し明るくなって、住民たちは蘇生の思だった。防護の人々は、交替に休むことになった。

どこからともなく、ホカホカと湯気の立つ握飯が運ばれてきた。大きな西瓜をかつぎこんでくる紳士もあった。少年たちを、それぞれ家に帰らせようとしたが、なかにはどうしても帰らないで、この天幕の隅で寝るというがんばり屋もあった。とにかく帝都の町々は、ちょっと、ひといきついたという形だった。

旗男少年は、どうしたのであろうか。彼は今朝東京へ帰って来たが、いろいろ旅のつかれで弱りこんでいるのだろうか。そういえば、彼の姿は、防護団のなかにも見えなかったが。

いや、その心配はしないでよろしい。この朝、旗男は家へかえると、すぐ弟と妹とに手伝わせて防毒室を作りにかかったのだ。

旗男は両親と相談して、洋間の書斎を第一防毒室にすることにきめた。そしてまず、窓のガラスは、外から大きな蒲団でかくし、その上に、長い板をもってきて、蒲団をおさえつけるようにして両端をとめた。これなら爆弾のひびきでガラス窓がこわれ、そこから毒瓦斯が入ってくるという心配はない。

その次は、畳をあげて、床板の隙間に眼張をはじめた。