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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

三人の兄弟は、にわかに腹がドカンとへったのを覚えた。そこへ、お手伝いのお花さんが山のように握飯をもって入ってきた。三人はウワーといって、まわりから手を出した。

「ああ、おいしい」

「町の防護団でも、いま、おにぎりを食べていますのよ。ホホホホ」

お手伝いさんは笑ってつげた。

夜は、不安をみなぎらせたまま、だんだんと更けていった。ひどく蒸暑い夜だった。

防護団は時間をきって、警戒員を交替させた。衛生材料がいっぱいつまった赤い十字のついた大きな箱が配給されてきた。どこからどこへ行くのか、重機関銃をもった一隊の兵士が、粛々と声もなく通りすぎていった。

「鍛冶屋の大将。今夜は来ないらしいね」

「おお分団長。警報は出ないが、しかし油断はならないぜ」

暁の空襲警報

茨城県湊町の鮪船が四艘、故郷の港を出て海上五百キロの沖に、夜明を待っていた。

その鮪船は、いずれも無線の送受信機とアンテナとを備えていて、魚がとれると、遠く内地海岸の無線局を呼び、市場と取引の打合せをすることができるのであった。

磯吉という漁夫の一人が、用便のために眼をさました。東の空は、もうかなり白みがかっていた。