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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

あいつけしからん流言をはなっているのだよ」

「どれどれ、あッ、あいつだ。あいつはスパイだよ。さっき丸の内でも、暴徒が品川の方から数万人も押しよせてくるから逃げろといっていた。防護団の人達が捕らえようとすると逃げだした。あいつはお尋者なんだ」

「そうか。そんなひどい奴か。ラジオや電話が切れたと思って、市民の心を乱してゆこうというのだな。よォし、じゃあ兼ちゃんと二人して、あの悪漢を捕らえてやろうじゃないか」

「うしろからいって、二人で彼奴の足を一本ずつ引きたおそう!」

敵国のために、人心を乱そうとしたスパイは、二少年によってあばかれ、防護団員に縛りあげられてしまった。団員は大喜びだった。その上、敵の空襲部隊が全滅したというラジオ・ニュースを旗男から聞いたので、防護団員は、その場に躍りあがって喜んだ。そして一斉に万歳を唱えた。

ああ遂に、帝都は救われた。大日本帝国の危機は遂に救われたのだ。

*

それから三日して、旗男のところには二つの大きな快報が舞いこんで、彼を有頂天にさせた。

一つは、直江津の姉露子と可愛い正坊が、無事にたすかって、今は小学校の避難所に収容されているという手紙が届いたことだった。