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くうかんがいねんのぶんせき

空間概念の分析

戸坂 潤

「思想 第八〇号、第八二号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,744 字 · 107 页

青空文庫

ではない。その性格を理解しているかいないかの問題である。蓋し言葉は概念から独立に理解することは出来ないであろう(以下言葉は概念と同じ資格として語られる)。

処が概念の持つ名称はそれにも拘らず、それだけが独立して様々の変容を受け、遂にはそれが表現する筈の元来の概念を失って了うことが、事実上起こり得る。例えば意識という名称は様々な変容を経た揚句遂には、もはや意識と呼ぶ理由のない概念にまで就くことが出来る。この時意識という名称は意識という概念から離脱し、従って意識として理解されるべき性格を云い表わすことを止めるであろう。それは死語となる。さてこの場合変容は何処まで許され、何処から先は禁じられるか。概念は今云った通り理解されて――命名されて――成り立っている、概念の成立には性格の理解、命名の理由が潜んでいた。概念は常にその成立の動機に束縛されている。それであるから概念が一方に於て一定の性格を、又他方に於て一定の名称を手放さないためには、この概念は常にその成立の動機に忠実でなくてはならない。故にこの動機を忘却する時その名称の変容はその点に於て禁止される必要がある(この禁止を無視することは表象散漫の症状となって現われる――個人的にも社会的にも。