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くうかんがいねんのぶんせき

空間概念の分析

戸坂 潤

「思想 第八〇号、第八二号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,744 字 · 107 页

青空文庫

第一に空間概念――以下常識的空間概念を略してかく呼ぶ――は、それ自身を目的として(per se)理解されるべきであって偶然的(per accidens)に理解されてはならない。どのような概念も per se に理解出来ると共に又 per accidens にも理解出来る性質を持っている。沙翁を語るためにハムレットを語るならばハムレットは per accidens に取り扱われる。之に反してハムレットを語るために沙翁を語るならば今度は沙翁が per accidens に、そしてハムレットは per se に取り扱われるであろう。もし神を理解するためにそれに付随して偶然に空間が問題となるならば、そしてその限り空間の問題が解かれるならば、之によって明らかとなるものは、空間の性格ではなくして実は神の性格でなければならない筈である*。無論偶然に解くことによっては問題が全く解けないと云うのではない。却ってそれが一応解かれ得るが故に解き尽し得たかのように思い做す危険を人々は有つのである。偶然は性格を逸する、それが見当違いである。このような誤解の最も一般的なものは、一つの哲学的体系を組織するのを目的として、その視点に立って空間概念を云わば義務的に取り入れるか、又は之を利用する態度である。