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くうかんがいねんのぶんせき
空間概念の分析
戸坂 潤
「思想 第八〇号、第八二号」
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,744 字 · 107 页
「彼処」は前に示された通り「何処」の範疇に外ならない。であるから場処とは要するに範疇「何処」に対応する処の存在を云い表わす言葉なのである。そしてこの存在とは無論空間的存在性でなければならない。それ故空間が場処として最初にとり出されたことは至極当然であるであろう。併しながら、範疇「何処」が範疇として成り立つために空間概念の理解が予め必要であった通り、之に対応して、場処が場処として理解されるためには又予め常識的空間概念の理解が必要でなければならない。場処が最初に最も直接にとり出され得るということは、それが常識的空間概念であることを、少しも保証するものではない。場処は空間に於ける場処である。場処を占める――限界する――ということは空間に於て場処を占めることに外ならないであろう(場処 locus と離すことの出来ないものは定位 localization である)。かくて場処という言葉も亦空間概念を正当に吾々に齎すことは出来ない。第三に空間概念は位置(situs)として現われる。位置が空間概念にぞくすることを何人も承認しなければならないと共に、又この言葉が空間概念を代表し得ないということもあまりに明らかであると思われる***。