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そらとぶえんばん

空飛ぶ円盤

中谷 宇吉郎

「西日本新聞」1955(昭和30)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,087 字 · 3 页

青空文庫

とでも直訳される題名の本である。空飛ぶ円盤は、その中では、ほんの一部を占めるだけで、ほかにも昔から「空」に関するいろいろな不思議が、たくさん伝えられている。それらを集めて、空間に一つの世界を想定しようというのであるから、初めは単なる科学マニアの創作かと思った。

しかし、ゼサップ氏はミシガン大学の天文学の講師で、天体物理学に関する博士論文を完成したところだという。素人の空想小説ではなく、本人は大真面目に書いているのである。

読んでみると、なるほど不思議なことがずいぶんあるものである。何トンという大きい氷の塊が空から落ちて来たり、鰻が何万匹と降って来たり、飛行機が雲に入ったきり出てこなかったり、雪の上に「悪魔の足跡」があったり、いろいろなことがいままでにあった。これ等について、一々記録を調べて書いてあるので、面白いことは非常に面白い。

結局南太平洋にあったミュウ大陸が、爆発して空間にとび上がり、太陽系の内部に未知の惑星をつくっている。そこに住んでいる宇宙人の為す仕業であろう、というふうに考えている。ここまで来れば、もちろんマニアであるが、現代の世界には、こういうマニアを生む条件がそなわっているという意味で、非常に面白い本である。