轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とってい
突堤
宮本 百合子
「中央公論」1935(昭和10)年10月「中央公論」五十周年記念特大号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,221 字 · 15 页
足の甲に草っぱの千切れたのをはりつけ、雨がまばらに光って降っている中を家へ辿りつくのであった。おばあさんは叱る。けれどもそれは別にこわくない。
もう何日かで東京へ帰るという時、私の頭に虱がついているのがわかったことがあった。縁側に私を坐らせ、後に立って髪をこまかにわけては虱をかりながら、おばあさんは私までもひき入れられる程に思い入った調子で、
「虱なんぞたけて帰したら、ハアお前のおっかさんに何ぼ怒らっちゃか!」
と呟いた。そして、
「もういねえか?」
となお私の頭を手でまわして髪の間をしらべるのであった。
大体田舎での私の生活は東京へ帰ってから余り話題にならなかった。田舎が与える新鮮で鋭い印象は全く感覚的なものであったから、それをどうとまとめて話すということも難しかった。それにその頃の親たちの毎日の暮しは、おばあさんや子供の生活と或るところでは接触し、しかし或るところでは全く離れてもいた。女の児の精神と肉体との中に無言の作用を営む田舎の感覚は、親たちの生活の感情からはどっちかと云えば離れた方の部分に属していたと思われる。
私が十七になったとき、弟たちは十五と十三で、だんだんその弟たちも、夏はおばあさんのところで暮すようになった。