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たこのきのしたで
章魚木の下で
「新創作」1943(昭和18)年新年号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,091 字 · 5 页
文学者の戦場は飽く迄書斎にあると唱える人が多い。現在も尚旺盛な創作熱にとり憑かれている人や、大いに自己の文学を以て御奉公し得る自信のある作家なら、充分にそれを主張する資格がある。併し、全然書けなくなったり、自己の作品に不安を感じたりするような人迄が、今迄文学をやって来たからというそれだけの事実に引きずられて、無理に書斎に噛りついていることは無い。人手の足りない此の際、宜しく筆を捨てて何等かの実際的な仕事に就いた方が、文学の為にも国家の為にもなろうと思うのである。(実際は既に作家達は各々斯うした仕事に就いているのであって、私がそれを知らないだけかも知れない。それだったら何も言うことは無い。)斯ういう粗い考え方は余りに文学を見縊ったように見えるだろうか。私自身としては毛頭そんなつもりは無い。却って文学を高い所に置いているが故に、此の世界に於ける代用品の存在を許したくないだけのことである。食料や衣服と違って代用品はいらない。出来なければ出来ないで、ほんものの出来る迄待つほかは無いと思う。だから、つい斯んなものの言い方になるのである。
章魚木の島で暮していた時戦争と文学とを可笑しい程截然と区別していたのは、「自分が何か実際の役に立ちたい願い」