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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
竹久夢二『童話集 春』。同一底本的分册已合并为一书。收入:はしがき、春、先生の顔、都の眼、クリスマスの贈物、たどんの与太さん、誰が・何時・何処で・何をした、日輪草、大きな蝙蝠傘、大きな手、玩具の汽缶車、風、最初の悲哀、おさなき灯台守、朝、人形物語、博多人形、街の子、夜、少年・春。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,531 字 · 97 页
……はい……はい、どうもお手数をかけました。」チリンチリン
電話をかけ終った巡査は、また留吉の方へ出て、さて言うには、
「今田氏はお前のような友達は持ったことはないと仰言るよ」
「今田時雄は、その、算術の試験の時……」
「もう好い。兎に角この帽子はお前に返してやるが、今後は、他人の邸宅へ無断で侵入しては相ならぬぞ、よしか」
留吉は、とある公園のベンチに腰かけて、つくづくと帽子を眺めました。
この帽子が悪いのだ。とにかくこの帽子は、おれを今よりもっと不幸にするかも知れない。田の草をとる時にも、峠を越す時にも、この帽子はおれの連だったが、今は別れる時だ。留吉は、帽子を捨てしまおうと決心しました。そこで、腰かけていたベンチの下へ、その帽子をそっとかくして、そこを立ちさりました。公園の門を二三間歩くと、
「おいおい」と言って巡査が追いかけてきました。
「これは、君のだろう」と言って、帽子を留吉に渡しました。
「いや、その、これはその……」留吉が、何か言おうとするうちに、もう巡査は、ほかの帽子か何かを探しにいってしまいました。
留吉は、不幸な帽子を手に持って歩いているうちに、たいへん腹がへってきました。