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わらいについて
笑について
岸田 国士
「人生読本3」春陽堂書店、1954(昭和29)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,526 字 · 13 页
笑いが一種の社会的反応を示す身振りだというのはつまりこれであります。喜劇が人々に喜ばれ、文明国でそれがしば/\劇場で演ぜられるという理由もそこにあります。喜劇が成立つのは、社会がそれを要求し、それによつて社会が反社会的なものに対して微妙な反応を示したいからであります。その反応がつまり笑いです。それは笑いは、つまり喜劇は社会生活における硬ばりと中心はずれとを矯正し、抑えようとする人類の意思の現れであるからであります。健全な社会とは喜劇を喜劇として笑うことを知り、それが大ぴらにできる社会であります。又文明人とは優れた喜劇を感知する力を持ち、必要に応じて演劇として、つまり芝居に仕組んで、皆で見て楽しむことを知つている人間のことであります。喜劇は舞台の上で見るものばかりとは言えません。我々の実生活の中で、この活きた社会の中に幾らも喜劇が転がつているのであります。その喜劇のおかしさを感じる力をお互いに身につけることが必要であります。その力は主として理智の力であります。別の言葉を使えば一種の批評精神であります。前に申しました硬ばりと中心はずれ、これをちよつとしたものの中に素早く見つけ出すということは、何と言つても柔軟な鋭い批評精神による以外には方法はないでしよう。