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わらわないむすめ

笑わない娘

小川 未明

「婦人之友」1921(大正10)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,738 字 · 8 页

青空文庫

そして、両親のそばにすわりました。

「お嬢さん、これをごらんください。」といって、宝石屋は、箱のふたを開きました。すると、一時に、赤・青・緑・紫、さまざまの石から放った光が、みんなの目を射りました。

両親はじめ、平常それらの石を扱いつけている男までが、目のくらみそうな思いがしましたのに、娘の顔は、びくともせずに、かえって、さげすむような目つきをして、冷ややかに見下ろしていたのであります。

「お嬢さん、こんな美しい石をごらんになったことがありまして?」と、宝石屋は、驚きの目をみはっていいました。

「私は、毎夜、これよりも美しい星の光をながめています。」

と、娘は平気で答えました。

さすがに、自慢の宝石屋も、この答えにびっくりして、そうそうに箱を抱えて、その家から逃げ出してしまいました。

やがて、このことと、娘が沈んでいて笑わないといううわさが、世間に伝わりました。

あるところに、その話を聞いて、たいへん娘に同情をして、気の毒がったおじいさんがあります。そのおじいさんは、もう頭が真っ白でした。そして、背が低く、いつも太いつえをついて歩いていました。

「私の考えるに、その娘は、詩人というものじゃ。